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2014
02.10

説明会第Ⅱ部を掲載します。

今回の第Ⅱ部では、ストレスとの向き合い方を考えていきます。

ここでは、マインドフルネス、アクセプタンス、コミットメント

の三つの視点からお話ししています。

自己洞察瞑想療法は、これらの要素を全て含んでいますが、実践

方法や基盤となる哲学が異なります。

自己洞察瞑想療法については、第Ⅲ部でお話しします。

Ⅱ‐1

どうしたら回復への行動に向かっていけるのかという事に対する
仮説を三つお示ししたいと思います。

でも、その前に私たちがストレスを感じて悩む時に、どのような

事が起こっているのかをみて見ましょう。

ここでは、いくつかの実験をしてみたいと思います。

まず、最初に一つの文章を見てください。

そして、そのとおりにやってみてください。

…………………………………………………………………………

 あなたが今までにしてきたことの中最も

恥ずかしかった事を思い出してください。

実際に少しの間思い浮かべてください。

…………………………………………………………………

皆さんは、これをご覧になってどんな感じがしたでしょうか。

実際に何か思い浮かべて、その時の気持ちを思い出したかも

しれません。ここにあるのは、ただの言葉にすぎません。

それ以外はなにもありません。それでも、私達の中には、

何かの反応、思考、感情がおこります。

それは、人間が言語能力を身につけた事、また、言葉を

通して記憶し、学習する事ができるからといえるでしょう。

ですから、言葉が現れただけで、記憶が呼び起され、今は

何も起こっていないのに、反応がわいてきたのです。

では、もう一つ文章をご覧ください。

…………………………………………………………………………

きれい」なものは、誰かと共有したい。しかし

あなたは、この夕焼けを大切な人と共有できない。

なぜなら、そこには、あなただけしかいないから。

そう思ったとたんに、悲しみがこみ上げてくる。

さっきまで、その夕焼けは「きれいなだけ」

 のものだったのに。

…………………………………………………………………………

いかがでしょうか。ただ「きれい」なだけだった夕焼けが、

悲しみの感情と結びついた事で、苦痛の種となってしまい

ました。このように、ストレスの種、苦痛の種は、人によって

様々ですが、あらゆることと結びつく可能性があります。

私達は、それらから完全に逃れることはできません。

では、私達は沸き起こる自分の反応をコントロールすることは

できるのでしょうか。

そこで、もう一つ実験をしてみたいと思います。

この言葉をよくご覧ください。

…………………………………………………………………………

 「シロクマ・シロクマ・シロクマ・シロクマ」

…………………………………………………………………………

それでは、これから一分間静かに目を閉じてください。何を考え

ても、また考えなくてもかまいません。でも、シロクマの事だけ

は、一秒たりとも考えてはいけません。

いかがでしたでしょうか。たぶん、皆さんは、頭の中のシロクマ

を追い出す事が困難だと感じられたのではないでしょうか。

考えないようにしようとすればするほど考えてしまうのが、私達

の習性なのです。

このように、私達誰もが自分の思考や感情を完全にコントロール

することはできません。

私達の日常には、様々な出来事、困難が起こります。そこから、

私達は個々の背景の中で、様々な思考、感情、記憶、衝動などを

起こします。精神的ストレス、苦痛の種は尽きる事がありません。

そして、私達はそれを何とかしようとして、悪戦苦闘します。

その対処の方法も、個々の受け止め方、向き合い方によって様々

です。そして、戦う事によって、さらに思考、心配、憤り、不安、

恐怖、悲しみなどが引き出され、それが苦悩となって深まります。

それを繰り返すうちに、バターン化していき、そこからまた更に

ストレスが生まれるという悪循環に陥っていく事になります。

しかし、生きている限り困難や苦痛はやってきます。ですから、

苦痛を苦悩にしない事が、回復への第一歩と考えます。

私達の心は、苦しむ事を望んでいません。しかし、私達の脳では、

繰り返す事によって神経細胞の活動が活性化し、反応は強化され、

学習されていきます。

また、脳の機能の一つとして、自動操縦があります。

これは、例えば自動車の運転のように、最初は一つ一つの動作を

確認しながらしかおこなえなくても、慣れてくると意識しなくて

も身体が勝手に反応します。脳は、そうして慣れたパターンを

自動化しようとする特性があります。ですから、まず私達はこの

パターンに気づいていく必要があります。気づかないで繰り返す

ことで悪循環は続きます。

パターンから自由になる第一歩が「気づき」です。

Ⅱ-2

ステップの一つ目として、パターン化して悪循環や自分の思考や

感情の傾向に気づいていく、つまり、今、ここでの自分の体験、

状態がどのようになっているかの気づきを養うことについて

みていきます。これが、マインドフルネスの視点です。

さて、ここでまた一つ実験をしてみましょう。

何か食べ物を用意してください。そして、まず、1つ、いつも

のように食べてみてください。

次に、もう一つを目の前において、じっくり観察してください。

それから、まるで初めて見て触り、食べる物のように、ゆっくり

丁寧に手に取り、あらゆる感覚を総動員して食べてみてください。

目や耳の情報、腕や手、唇や口の中の感覚、味、匂いなどを存分

に味わってください。

…………………………………………………………………………

いかがだったでしょうか。自分の体や感覚にいつもと違う気づき

があったかもしれません。私達は、日常生活の中で、習慣化した

行動を無意識におこなっている事が多くあります。

食事でも、何か考え事をしながら、また、テレビを見ながら、

ただ口に運んでいる事はないでしょうか。

マインドフルネスは、意図的に、今この瞬間に、評価をせずに、

自分の体験に注意を向けることです。そして、マインドレスな

状態とは、自動操縦による習慣的なパターンで反応したり、

無意識に繰り返される反芻思考に陥っている状態、「心ここに非ず」

という状態です。

そして、マインドフルネスが目指しているのは、次の事柄です。

① 反芻思考から抜け出す

   感覚などの他の側面に意図的に注意を向ける

② 心の習慣的なパターンを観察する

   自動操縦と陥りやすい傾向に気づく

③ 「することモード」「あることモード」へ

  苦痛と戦わず、寛容な態度で共にある事ができる事に気づく

④ 脱中心化

  思考や感情は、体験の一側面でしかない事に気づく

この4つの目標を、呼吸法、瞑想法の中で繰り返し練習して

いきます。これは、一面では、強力な脳のトレーニングまたは

エクササイズといえるでしょう。では、私達はここで気づいた

ことをどのように扱ったらよいのでしょうか。

Ⅱ-3

それは、ステップの二つ目、気づいた体験、困難や苦痛を含め、

受け入れる態度を養う事です。これがアクセプタンスの視点です。

気づいた体験、その中には様々な厄介な思考や、感情、感覚、

記憶、衝動、症状などの苦痛も多く含まれているでしょう。

しかし、私たちは、沸き起こる反応を止める事もできないし、

思い通りにコントロールする事もできない事は、もう実験で体験

しました。苦痛を無い物として否定しても消えるわけではありま

せん。変えられないものは、受容することが必要です。

ここで、受け入れるという事と我慢して押し殺す事や否認、回避

とは違うという事を確認しておきたいと思います。

アクセプタンスとは、気づいた体験と共に積極的に存在する事です。

ですから、それをどうにかしよう、何とかしようと悪戦苦闘する事

から降りることです。苦痛は、ある一側面でしかない事を自覚し、

それと共にある事を選ぶことです。

きれいな夕焼けは、ただ夕焼けというあるがままの現象として見る

事です。そこについてくる思考や感情はただ一側面と観察して苦悩

としません。ここで、たとえ話を1つお話ししたいと思います。

…………………………………………………………………………

ある人が底なし沼にはまってしまいました。

そこへ、あなたが通りかかりますが、ロープも

木の枝もありません。その人は、脱出しようと

もがきますが、ますますはまってしまいます。

あなたは、助けたいと思いますが、なすすべが

ありません。あなたにできる事はなんでしょう。

それは、「もがくのはやめて、大の字に寝て」と

叫んであげる事です。そうすれば、沈まずに丸太

のように転がって脱出できるかもしれません。

…………………………………………………………………………

では、泥沼の中で、大の字になるために必要なもの

とは何でしょう。それが、次のステップです。

Ⅱ‐4

ステップの三つ目は、人生を取り戻す勇気を養う、例えば、

思い切って底なし沼で大の字になる勇気です。

これが、コミットメントの視点です。

それには、自分の人生や生活の中で何を大事にするか、価値や

願いはどこにあるのかを自覚する必要があります。それに対し、

自分で責任を持って関わっていく事がコミットメントです。

私達は、苦悩や心の不調を抱えて悩む時、希望や願いなど見い

だせないように感じてしまいます。しかし、気づきを得る中で、

自分の中にそれがあることも自覚していけるでしょう。

コミットメントできないのは、心理的な問題や苦悩にあまりにも

捉われていて、きちんとした生活を送るためには、まずは苦悩を

減少させる必要があると思い込んでいるためではないでしょうか。

それが、現実の生活、人生を停滞させてしまうのです。

ですから、

ステップ1で、今、ここでの自分の体験に気づき、困難や苦痛に

対する自分の傾向や自分の願いも自覚し、

ステップ2で、その困難や苦痛を受け入れ、それらと共にあり

ながらも苦悩を深めず、さらに

ステップ3で、人生の願いを実現するような方向で、瞬間瞬間に

行動を選択して実行していく、

この三つのステップに取り組む事で、心の不調の回復を図る事が

できるのではないかという事がこの心理療法の仮説です。

つまり、自分を理解する事、「分かる」ことから、人生に関わる

行動へと「変わる」事を目指していきます。

これは、心の使い方の変革を求められることでもあり、地道な

トレーニング・エクササイズともいえます。理論が分かっても、

何も変わりません。「分かる」を「変わる」にするためには、

実践を積み重ねていく以外に方法はありません。

それでは、次のⅢ部で、自己洞察瞑想法の実際のプログラムに

ついて、ご説明したいと思います。










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2014
02.10

前回説明会でお話した内容を掲載させていただきます。

マインドフルステツプの説明会でお話しさせて頂いた内容を三回に

分けて掲載させていただきます。

 

マインドフルネス心理療法の概要と日本で開発された自己洞察瞑想療法

についてご紹介します。

これは、自己理解を深め、日々のストレスとうまく付き合いながら、心

の不調を改善し、生き生きと自分らしく生きていく事のために、大変役

立つ方法だと私は考えています。

ですから、ぜひたくさんの方々に知って、そして日常の生活の中で活用

していただければ幸いです。

 

それでは、皆さんにこの療法の全体像をお話しするために、

Ⅲ部に分けて、お話を進めていきます。今回は第Ⅰ部です。

 

Ⅰ部…心の不調をどんな視点から捉えるか

Ⅱ部…回復に向かうための方法についての仮説

Ⅲ部…その仮説に沿ったプログラムをご紹介

 

Ⅰ-1

心の不調を考えるにあたり、まず心とは何かという事を少し考えて

みたいと思います。

心を捉える時、一元論と二元論という二つの考え方があります。

一元論は、クリック(DNAの構造を解明)の、「心は脳の神経活動

そのもの」という考え方に代表されるものです。

二元論は、古くはデカルトの「我思うゆえに我あり」、近年では

ペンフィールド(脳の機能局在を解明)の「脳はコンピューター、

心はプログラマー」に代表されるものです。

現在は、二元論が優位といわれています。つまり、体の一部である

脳と、個人を象徴する心は別とする考え方です。そして、この心と

身体(脳もその一部)は相互に影響しあうもの、心身一如、心身相関

という事がいわれています。

心と体は別々に働くものではなく、常に一体となって私達を生かして

くれているのです。

では、心とはなにか、心だけを分離して取り出す事はできません。

心身相関の中で、心を捉えていくことを共通認識としたいと思います。

そこで、心は目に見えませんが、心の働きは、目に見えるもの、表に

現れるもので推測する事ができます。それは、思考、感情、行動です。

これらは、身体の中でも脳の働きが大きく影響しています。それでは、

この思考、感情、行動はどのように決定されるのでしょうか。

それを確認するために、まず脳の働きから見ていきたいと思います。

Ⅰ-2

脳の働きを見ていく時に、<第一の心>と<第二の心>という捉え方

があります。

<第一の心>は、脳の中心部、大脳辺縁系や間脳が関係しています。

これは、動物にも共通する部分で、好き嫌い、快不快、恐怖や喜怒哀楽、

意欲、本能的欲求(食欲・性欲)を司っています。また、ここには記憶

に関する領域があり、感情を伴った記憶は長く強く蓄積されます。

これは、PTSDなどにも関係してくるところです。

そして<第二の心>は、脳の回りの部分で、特に前方の前頭前野が関係

しています。ここは人間だけが大きく発達している部分です。ここでは、

知性や感情のコントロール、共感や判断などをしています。判断の面

では、やる・やらないの切り替えも司っており、依存症などにも関係

しています。

この<第二の心>は、<第一の心>の作用を制御しながら、影響を

及ぼしあって、人間らしさ、その人らしさを作っていると考えられて

います。

しかし、<第一の心>と<第二の心>は、葛藤を起こします。

つまり、一方が衝動のままに行動して目先の欲求を満たそうとし、

一方がそれを抑えて欲求の先延ばしをして、長期的な目標に従い

行動しようとします。私達は、日常生活の中で小さな選択をする時も

その葛藤を意識的、無意識的に経験しています。本能的欲求は時に

厄介なものともいえます。

しかし、この<第一の心>があるからこそ、私たちは原始の時代

から生き延びてきました。そして、現代の私達にとっても大変大事な

ものです。それは、脳が損傷した人の例から見る事ができます。

間脳が損傷した人で、「恐怖」「嫌悪」を感じなくなってしまった

ケースがあります。その結果、大食になったり、性的な逸脱行為が

おこりました。つまり、自制、自己コントロールのためには、「恐怖」

「嫌悪」も大変重要な本能だという事です。私達は、欲望を失えば

憂鬱になり、恐怖を感じないと危険から身を守る事ができません。

本能に逆らうのではなく、うまく付き合っていく事が大切という事

だと思います。

それでは、この心と脳の働き、思考、感情、行動のバランスを崩す

もの、つまり心の不調を生み出すものは何でしょうか。

その一つが、ストレスであると考えています。

Ⅰ-3

では、ストレスが脳にどのように影響するのかを見ていきましょう。

私達は、身体の様々な感覚器官から情報を得ています。それは、物理的

なもの、化学的なもの、生理的なもの、心理的なものなど様々です。

そして、それらはまず大脳皮質に伝わり、それから<第一の心>の場所、

大脳辺縁系の視床下部に伝わります。すると、そのストレス(刺激)の

種類や状況によって、反応は大きく3つの経路に分かれます。

一つ目は、緊急刺激、すぐに対応しないと命が危ない場合などで、

闘争逃走反応ともいわれます。戦うか逃げるかを迫られる状態で、

自律神経系が働き、血圧上昇、血糖値や覚醒レベルが上がるなどの

反応が起こります。そして、危険が去るとホメオスタシスが働き、

基に戻そうとします。このような反応が頻繁に繰り返されると、

交感神経と副交感神経が疲弊して、自律神経失調を起こしたり、

誤作動や過剰反応を起こし、パニックや過呼吸につながるといわれ

ています。

二つ目は、外部からの心身への刺激で起こり、緊急反応よりゆっくり

した反応で、不快刺激が長く続いた時に起こります。この経路では、

脳下垂体から副腎皮質に働くホルモンが出て、副腎皮質からは

コルチゾールというホルモンが出ます。これは、ストレスホルモンと

呼ばれており、胃潰瘍や高血圧といった心身症、免疫力の低下を引き

起こします。この反応が継続すると、やがて海馬や前頭葉の神経組織に

ダメージを与え、委縮を起こすことが分かってきています。

また、肥満(ストレス太り)にも関係しているといわれています。

三つ目は、内部で起こる心理的な刺激への反応です。

これは、セロトニンの工場といわれている縫線核という部位に作用し、

その活動を抑制します。セロトニンについては、後でお話ししますが、

セロトニンが働かないと、適応障害やうつ状態につながります。

それでは、すべての刺激はストレスなのでしょうか。

次に、ストレスについてみていきます。

Ⅰ-4

ストレスはどのようなプロセスで私達の心に影響を与えるのでしょう。

ます、ストレスとなる状況や出来事があります。

それを受けて、ストレス反応が起きます。その時、私達は何か対処方法

(コーピング)を取るでしょう。

そこには、個々の育った環境、経験、知識、また、考え方の傾向、

先入観や思い込みなどが影響します。そのようにして、対処した結果が

満足できるものであれば、それは快ストレスとなり、社会に適応し、

私達を成長させてくれるものとなるでしょう。

しかし、対処がうまくいかないと、慢性的なストレス状態が継続する

ことになります。すると、時にストレスが去っても反応が止まらない、

繰り返しのストレスに反応できない、反応の慢性化、反応が誤作動を

起こします。そして、脳の不調、心の不調、健康障害へとつながって

しまいます。

それでは、不快ストレスを慢性化しないためには、どうしたらよい

でしょう。

それを左右するものに、ストレスへの受け止め方があると考えます。

それには、個々の考え方や物事の捉え方など認知の面と、対処方法、

行動が相互に影響を及ぼしあいます。同じストレスでも個人個人に

与える影響や反応は様々であるといえます。

さらにもう一つ、脳に影響を与えるものについて次にお話しします。

Ⅰ-5

それは、脳内物質、神経伝達物質です。

ここでは主に、<第二の心>の領域である、前頭前野で働く3つの

物質についてみていきます。

1つは、ノルアドレナリンです。ノルアドレナリンは、Ⅰ‐3の

ストレス反応の一つ目と二つ目の経路にも関係しています。

これは、仕事脳を働かせるものともいわれ、状況を素早く判断して、

最適な行動を選択できるように働きます。これがうまく働かないと

怒りっぽい、落ち着きがないなどの状態を引き起こします。

二つ目は、ドーパミンです。ドーパミンは、学習脳を働かせるもの

ともいわれ、快感や目的を達成するための欲求、意欲を高めます。

うまく働けは、目標に向かって努力する事ができますが、暴走すると

欲求が満足につながらず、増々大きくなって抑えられなくなります。

これが、依存症を引き起こしたりします。反対に不足すると欲求や

意欲の低下が起こります。

三つ目は、セロトニンです。セロトニンは、共感脳を働かせるもの

ともいわれ、脳内物質の調整役で、心のバランスを整え、共感や我慢

の心を作ると考えられています。過剰な興奮や衝動、欲求を鎮め、

抑うつ感を軽減させて心を穏やかに安定させます。

これが、うまく働かないと不快ストレが蓄積していきます。

うつや不安、子供では自傷や発達障害、大人でも切れやすいなどの

状況を生みだします。

これらの神経伝達物質も、バランスよく働く事が必要です。

ストレスが継続すると、ストレス物質が前頭前野の神経細胞を壊す

事は前にお話ししました。

つまり、慢性的ストレスで前頭葉の働きが悪くなると、これらの物質

の働きも阻害されることになります。そして、阻害されることにより、

ストレスの受け止め方にも大きく影響し、悪循環となります。

そのことについては、セロトニンの働きを通してみてみましましょう。

Ⅰ-6

セロトニンは、ストレスの指揮者とも呼ばれています。

ノルアドレナリン、ドーパミンを調整し、快不快の暴走を抑制して

安定した心を作ります。ストレスが増えると、縫線核でセロトニン

神経の活動が低下します。そして、セロトニンが低下すると、増々

不快ストレスが増加します。逆に、セロトニンが増えるとストレス

が和らぎ、慢性化を抑えます。このように、ストレスとシーソーの

関係になっているセロトニンは、どうしたら増やすことができるの

でしょうか。

それについては、有田秀穂氏(医学博士、セロトニン道場主催)は

次の三つをあげておられます。

1つは、太陽光を浴びる、しっかり睡眠をとるという事です。

朝、太陽の光を浴びるとセロトニンを作る神経のスイッチが入ると

いわれており、セロトニンは日中起きている間に作られます。

2つ目は、リズム運動です。これは、緊張と弛緩を繰り返すような

運動良いといわれています。ここに、呼吸法や瞑想法も含まれます。

近年、瞑想や座禅が脳に及ぼす影響については、多くの研究がされ

ており、セロトニンを増やすと考えられています。

3つ目は、グルーミング、動物で言えば毛づくろい、人間では、

人との触れ合いを意味します。これは、直接セロトニンに作用する

のではありませんが、オキシトシンというセロトニンを活性化する

物質を増やすといわれています。オキシトシンは、子育て中の母親

に多く出るもので、共感のホルモンと呼ばれています。人やペット

とのスキンシップや会話、また、マッサージや肩たたきなど、人の

ためにすることでも活性化します。

この他、脳を活性化することとして、ワーキングメモリーを使う事、

これは何でも些細な情報、すぐ忘れて良いような事でもできるだけ

覚える事、例えば、店員さんがお客の注文をいくつか同時に憶えて

おくような事です。

また、不快な事を思い出さないようにすることも脳の働きにとって

良いといいます。それから、脳内物質を作る基となる栄養を食事

からとる事もあげられます。

更に、可能であれば、ストレス環境を変えることも良いでしょう。

しかし、ここで、大きな問題が起こります。それは、心の不調が

あると、これらの実行が難しく、更には逆効果になる事もあると

いうことです。

ストレスで、疲労が蓄積している時に、セロトニン運動を無理に

おこなうと、さらにそれがストレスとなり、セロトニンの活動を

低下させてしまうのです。

そこで、もう一度、ストレスの受け止め方、向き合い方について、

見直して見る必要が出てきます。

ここまでが、Ⅰ部のまとめです。

次回のⅡ部では、ストレスとの向き合い方を考えていきます。







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