2014
02.10

前回説明会でお話した内容を掲載させていただきます。

マインドフルステツプの説明会でお話しさせて頂いた内容を三回に

分けて掲載させていただきます。

 

マインドフルネス心理療法の概要と日本で開発された自己洞察瞑想療法

についてご紹介します。

これは、自己理解を深め、日々のストレスとうまく付き合いながら、心

の不調を改善し、生き生きと自分らしく生きていく事のために、大変役

立つ方法だと私は考えています。

ですから、ぜひたくさんの方々に知って、そして日常の生活の中で活用

していただければ幸いです。

 

それでは、皆さんにこの療法の全体像をお話しするために、

Ⅲ部に分けて、お話を進めていきます。今回は第Ⅰ部です。

 

Ⅰ部…心の不調をどんな視点から捉えるか

Ⅱ部…回復に向かうための方法についての仮説

Ⅲ部…その仮説に沿ったプログラムをご紹介

 

Ⅰ-1

心の不調を考えるにあたり、まず心とは何かという事を少し考えて

みたいと思います。

心を捉える時、一元論と二元論という二つの考え方があります。

一元論は、クリック(DNAの構造を解明)の、「心は脳の神経活動

そのもの」という考え方に代表されるものです。

二元論は、古くはデカルトの「我思うゆえに我あり」、近年では

ペンフィールド(脳の機能局在を解明)の「脳はコンピューター、

心はプログラマー」に代表されるものです。

現在は、二元論が優位といわれています。つまり、体の一部である

脳と、個人を象徴する心は別とする考え方です。そして、この心と

身体(脳もその一部)は相互に影響しあうもの、心身一如、心身相関

という事がいわれています。

心と体は別々に働くものではなく、常に一体となって私達を生かして

くれているのです。

では、心とはなにか、心だけを分離して取り出す事はできません。

心身相関の中で、心を捉えていくことを共通認識としたいと思います。

そこで、心は目に見えませんが、心の働きは、目に見えるもの、表に

現れるもので推測する事ができます。それは、思考、感情、行動です。

これらは、身体の中でも脳の働きが大きく影響しています。それでは、

この思考、感情、行動はどのように決定されるのでしょうか。

それを確認するために、まず脳の働きから見ていきたいと思います。

Ⅰ-2

脳の働きを見ていく時に、<第一の心>と<第二の心>という捉え方

があります。

<第一の心>は、脳の中心部、大脳辺縁系や間脳が関係しています。

これは、動物にも共通する部分で、好き嫌い、快不快、恐怖や喜怒哀楽、

意欲、本能的欲求(食欲・性欲)を司っています。また、ここには記憶

に関する領域があり、感情を伴った記憶は長く強く蓄積されます。

これは、PTSDなどにも関係してくるところです。

そして<第二の心>は、脳の回りの部分で、特に前方の前頭前野が関係

しています。ここは人間だけが大きく発達している部分です。ここでは、

知性や感情のコントロール、共感や判断などをしています。判断の面

では、やる・やらないの切り替えも司っており、依存症などにも関係

しています。

この<第二の心>は、<第一の心>の作用を制御しながら、影響を

及ぼしあって、人間らしさ、その人らしさを作っていると考えられて

います。

しかし、<第一の心>と<第二の心>は、葛藤を起こします。

つまり、一方が衝動のままに行動して目先の欲求を満たそうとし、

一方がそれを抑えて欲求の先延ばしをして、長期的な目標に従い

行動しようとします。私達は、日常生活の中で小さな選択をする時も

その葛藤を意識的、無意識的に経験しています。本能的欲求は時に

厄介なものともいえます。

しかし、この<第一の心>があるからこそ、私たちは原始の時代

から生き延びてきました。そして、現代の私達にとっても大変大事な

ものです。それは、脳が損傷した人の例から見る事ができます。

間脳が損傷した人で、「恐怖」「嫌悪」を感じなくなってしまった

ケースがあります。その結果、大食になったり、性的な逸脱行為が

おこりました。つまり、自制、自己コントロールのためには、「恐怖」

「嫌悪」も大変重要な本能だという事です。私達は、欲望を失えば

憂鬱になり、恐怖を感じないと危険から身を守る事ができません。

本能に逆らうのではなく、うまく付き合っていく事が大切という事

だと思います。

それでは、この心と脳の働き、思考、感情、行動のバランスを崩す

もの、つまり心の不調を生み出すものは何でしょうか。

その一つが、ストレスであると考えています。

Ⅰ-3

では、ストレスが脳にどのように影響するのかを見ていきましょう。

私達は、身体の様々な感覚器官から情報を得ています。それは、物理的

なもの、化学的なもの、生理的なもの、心理的なものなど様々です。

そして、それらはまず大脳皮質に伝わり、それから<第一の心>の場所、

大脳辺縁系の視床下部に伝わります。すると、そのストレス(刺激)の

種類や状況によって、反応は大きく3つの経路に分かれます。

一つ目は、緊急刺激、すぐに対応しないと命が危ない場合などで、

闘争逃走反応ともいわれます。戦うか逃げるかを迫られる状態で、

自律神経系が働き、血圧上昇、血糖値や覚醒レベルが上がるなどの

反応が起こります。そして、危険が去るとホメオスタシスが働き、

基に戻そうとします。このような反応が頻繁に繰り返されると、

交感神経と副交感神経が疲弊して、自律神経失調を起こしたり、

誤作動や過剰反応を起こし、パニックや過呼吸につながるといわれ

ています。

二つ目は、外部からの心身への刺激で起こり、緊急反応よりゆっくり

した反応で、不快刺激が長く続いた時に起こります。この経路では、

脳下垂体から副腎皮質に働くホルモンが出て、副腎皮質からは

コルチゾールというホルモンが出ます。これは、ストレスホルモンと

呼ばれており、胃潰瘍や高血圧といった心身症、免疫力の低下を引き

起こします。この反応が継続すると、やがて海馬や前頭葉の神経組織に

ダメージを与え、委縮を起こすことが分かってきています。

また、肥満(ストレス太り)にも関係しているといわれています。

三つ目は、内部で起こる心理的な刺激への反応です。

これは、セロトニンの工場といわれている縫線核という部位に作用し、

その活動を抑制します。セロトニンについては、後でお話ししますが、

セロトニンが働かないと、適応障害やうつ状態につながります。

それでは、すべての刺激はストレスなのでしょうか。

次に、ストレスについてみていきます。

Ⅰ-4

ストレスはどのようなプロセスで私達の心に影響を与えるのでしょう。

ます、ストレスとなる状況や出来事があります。

それを受けて、ストレス反応が起きます。その時、私達は何か対処方法

(コーピング)を取るでしょう。

そこには、個々の育った環境、経験、知識、また、考え方の傾向、

先入観や思い込みなどが影響します。そのようにして、対処した結果が

満足できるものであれば、それは快ストレスとなり、社会に適応し、

私達を成長させてくれるものとなるでしょう。

しかし、対処がうまくいかないと、慢性的なストレス状態が継続する

ことになります。すると、時にストレスが去っても反応が止まらない、

繰り返しのストレスに反応できない、反応の慢性化、反応が誤作動を

起こします。そして、脳の不調、心の不調、健康障害へとつながって

しまいます。

それでは、不快ストレスを慢性化しないためには、どうしたらよい

でしょう。

それを左右するものに、ストレスへの受け止め方があると考えます。

それには、個々の考え方や物事の捉え方など認知の面と、対処方法、

行動が相互に影響を及ぼしあいます。同じストレスでも個人個人に

与える影響や反応は様々であるといえます。

さらにもう一つ、脳に影響を与えるものについて次にお話しします。

Ⅰ-5

それは、脳内物質、神経伝達物質です。

ここでは主に、<第二の心>の領域である、前頭前野で働く3つの

物質についてみていきます。

1つは、ノルアドレナリンです。ノルアドレナリンは、Ⅰ‐3の

ストレス反応の一つ目と二つ目の経路にも関係しています。

これは、仕事脳を働かせるものともいわれ、状況を素早く判断して、

最適な行動を選択できるように働きます。これがうまく働かないと

怒りっぽい、落ち着きがないなどの状態を引き起こします。

二つ目は、ドーパミンです。ドーパミンは、学習脳を働かせるもの

ともいわれ、快感や目的を達成するための欲求、意欲を高めます。

うまく働けは、目標に向かって努力する事ができますが、暴走すると

欲求が満足につながらず、増々大きくなって抑えられなくなります。

これが、依存症を引き起こしたりします。反対に不足すると欲求や

意欲の低下が起こります。

三つ目は、セロトニンです。セロトニンは、共感脳を働かせるもの

ともいわれ、脳内物質の調整役で、心のバランスを整え、共感や我慢

の心を作ると考えられています。過剰な興奮や衝動、欲求を鎮め、

抑うつ感を軽減させて心を穏やかに安定させます。

これが、うまく働かないと不快ストレが蓄積していきます。

うつや不安、子供では自傷や発達障害、大人でも切れやすいなどの

状況を生みだします。

これらの神経伝達物質も、バランスよく働く事が必要です。

ストレスが継続すると、ストレス物質が前頭前野の神経細胞を壊す

事は前にお話ししました。

つまり、慢性的ストレスで前頭葉の働きが悪くなると、これらの物質

の働きも阻害されることになります。そして、阻害されることにより、

ストレスの受け止め方にも大きく影響し、悪循環となります。

そのことについては、セロトニンの働きを通してみてみましましょう。

Ⅰ-6

セロトニンは、ストレスの指揮者とも呼ばれています。

ノルアドレナリン、ドーパミンを調整し、快不快の暴走を抑制して

安定した心を作ります。ストレスが増えると、縫線核でセロトニン

神経の活動が低下します。そして、セロトニンが低下すると、増々

不快ストレスが増加します。逆に、セロトニンが増えるとストレス

が和らぎ、慢性化を抑えます。このように、ストレスとシーソーの

関係になっているセロトニンは、どうしたら増やすことができるの

でしょうか。

それについては、有田秀穂氏(医学博士、セロトニン道場主催)は

次の三つをあげておられます。

1つは、太陽光を浴びる、しっかり睡眠をとるという事です。

朝、太陽の光を浴びるとセロトニンを作る神経のスイッチが入ると

いわれており、セロトニンは日中起きている間に作られます。

2つ目は、リズム運動です。これは、緊張と弛緩を繰り返すような

運動良いといわれています。ここに、呼吸法や瞑想法も含まれます。

近年、瞑想や座禅が脳に及ぼす影響については、多くの研究がされ

ており、セロトニンを増やすと考えられています。

3つ目は、グルーミング、動物で言えば毛づくろい、人間では、

人との触れ合いを意味します。これは、直接セロトニンに作用する

のではありませんが、オキシトシンというセロトニンを活性化する

物質を増やすといわれています。オキシトシンは、子育て中の母親

に多く出るもので、共感のホルモンと呼ばれています。人やペット

とのスキンシップや会話、また、マッサージや肩たたきなど、人の

ためにすることでも活性化します。

この他、脳を活性化することとして、ワーキングメモリーを使う事、

これは何でも些細な情報、すぐ忘れて良いような事でもできるだけ

覚える事、例えば、店員さんがお客の注文をいくつか同時に憶えて

おくような事です。

また、不快な事を思い出さないようにすることも脳の働きにとって

良いといいます。それから、脳内物質を作る基となる栄養を食事

からとる事もあげられます。

更に、可能であれば、ストレス環境を変えることも良いでしょう。

しかし、ここで、大きな問題が起こります。それは、心の不調が

あると、これらの実行が難しく、更には逆効果になる事もあると

いうことです。

ストレスで、疲労が蓄積している時に、セロトニン運動を無理に

おこなうと、さらにそれがストレスとなり、セロトニンの活動を

低下させてしまうのです。

そこで、もう一度、ストレスの受け止め方、向き合い方について、

見直して見る必要が出てきます。

ここまでが、Ⅰ部のまとめです。

次回のⅡ部では、ストレスとの向き合い方を考えていきます。






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